【無人店舗の作り方】国内事例と成功のポイントを解説
無人店舗は、Amazonが米国シアトルに「AmazonGO」を2018年にオープンしたことで注目が集まり、世界中で様々な形態の無人店舗が増えました。日本でも労働人口減少、キャッシュレス化、コロナウィルス流行による非接触対策や労働時間の短縮などの流れを受け、2021年は「無人店舗元年」とも呼ばれるほど店舗の無人化・省人化がトレンドとなり、取り組む企業が増えました。
すでに暮らしに根付いているコインランドリーや銀行のATM、24時間営業しているジムの夜間営業なども無人店舗ですが、最新のテクノロジーを活用して次世代型ともいえる無人店舗が増えています。
この記事では無人店舗の事例やトレンドについて、店舗を無人化するためには何が必要か?無人店舗のつくりかた、成功のポイントなどについて詳しく解説していきます。
もくじ
無人店舗とは?
無人店舗とは文字通り、販売員や接客スタッフが配置されていない無人の店舗のことを指します。顧客が入店して商品やサービスを選び、決済して退店するまで人と接することなく購買可能な店舗が無人店舗です。
無人店舗といっても店員が全くいないわけではなく、商品補充や有事の対応のためバックヤードに少人数を配備していたり、リモート拠点から対応ができるような仕組みを導入している場合がほとんどです。
無人店舗の特徴とトレンド
無人化や省人化は試験的に行なっている店舗も多く、今まさに進化中の分野とも言えます。ここ数年で見られる無人店舗の特徴は、最新のテクノロジーを用いた顔認証の技術やセンサー、カメラ、AI、ロボット、キャッシュレス決済、スマートフォンによる入退店管理など、デジタル技術を導入して人的なオペレーションを最小限に減らし、業務をシステム化・効率化しています。
不特定多数のお客様が来店するコンビニなどの小売業では、盗難などの防犯対策もかねて店内にくまなくカメラを設置し、お客様がどの商品を手に取ったかAIカメラや重量センサーなどでリアルタイムで認識しています。会計方法はセルフレジや、店舗を出ると自動的にアプリから決済する仕組み等を導入しています。
会員制サービスを提供しているジムやネットカフェなどでは、IDカードやスマホアプリ等で本人認証で入退室を管理し、受付業務はリモート接客で対応することで無人化しています。完全に無人化するのではなく、店内の掃除のみロボットが行なうなど一部の業務だけテクノロジーを活用して省人化し、人手の業務を軽減して業務効率化に取り組んでいる店舗もあります。
無人店舗の広がりと多様性
テクノロジー革新により無人店舗の概念は現在、多岐にわたる業種に拡大しています。ホテルや宿泊施設での無人フロントやセルフチェックイン、小売業では自動レジや遠隔接客を活用して無人化したり、ドローンによる商品配送、ロボットが調理して料理を運ぶ飲食店など、さまざまな分野で無人店舗が広がりつつあります。お客様は自分の好きなタイミングでサービスを利用でき、店舗側は運営の柔軟性と費用対効果を向上させることが可能なので、消費者と事業者双方にとって便利で効率的な新しい形態の店舗が増加しています。
無人店舗のメリット
メリット1:人手不足を解消
無人店舗の最大のメリットは慢性的な人手不足を解消できることです。日本企業の多くは人手不足の課題を抱えており、特に小売業やサービス業などで顕著です。無人店舗であれば店舗運営に必要な人員を減らせることに加え、人が関わる業務は店舗マネジメントや消費者対応の品質改善など高度な専門業務に注力することが可能になり、労働条件や待遇の改善、ひいては離職率の低減にも繋げることができます。
メリット2:店舗運営コストを大幅削減
店舗の無人化・省人化により、各拠点の人件費を大幅に削減することができます。これまでは1つの店舗に一定数のスタッフの配備が必要でしたが、新しいシステムの導入や店舗運営の仕組みの改善により、少人数での運営が可能になります。複数の店舗を効率的に運営することもでき、人手不足の問題や経費削減のニーズにも応えることができるため、企業にとって大きな利点となります。
メリット3:営業時間の拡大
深夜帯の対応や24時間営業も容易になります。無人店舗のオペレーション体制を一度構築すれば、費用をあまり増やさずに店舗数や営業時間を拡大できます。顧客の利便性を高めるだけでなく収益性も向上させることができ、企業の競争力を高め市場での存在感を増すことができます。
メリット4:混雑の回避
無人店舗は販売員と接触することなく買い物ができるため、お客様は自分のペースで商品を選び、ゆっくりと買い物を楽しむことができます。レジに並ぶ手間や時間を省くことで、混雑を避けることもできます。これにより、お客様のストレスを軽減し、より快適な買い物体験を提供することができます。
メリット5:データの収集・活用
店内に設置したセンサーやカメラで来客数や消費者の行動データを記録したり、消費者のスマホアプリや店内のタッチパネル操作によるデータの記録などから、消費者一人ひとりのパーソナルデータと興味・関心、購買履歴などを紐付けたデータの蓄積が可能になります。これまではなかなか収集できなかった消費者のオフライン行動も取得しやすくなり、商品の企画や仕入れ、陳列方法など様々なマーケティング施策に活用できます。
無人店舗の課題とデメリット
防犯対策と有事の対応
無人店舗は万引き・盗難などのリスクがあるので、防犯対策が必須となります。カメラ・センサーなどの設置、防犯ソリューションや認証システムの導入などで防止します。また、機械が故障した、システムがシャットダウンした、レジがエラーになったなど顧客が困った時に、すぐに対応できるような体制も整えておく必要があります。
初期投資が高くなることがある
店舗の無人化は設備機器の投資が膨らみ初期費用が膨大になってしまうことがあります。長期的に見れば人件費の削減やランニングコスト削減などのメリットの多い施策ですが最初はシステム導入のハードルが高い場合もあるでしょう。そのため最初から全てを無人化するのではなく、できるところから徐々にオペレーションを省人化していくことをお勧めしますします。
顧客とのコミュニケーション機会が減少
顧客がスタッフとのコミュニケーションを楽しみながら買い物をする店舗の場合、無人化してしまうと店舗利用のメリットそのものが無くなってしまいます。逆にスタッフとのコミュニケーションを必要としていない顧客にとっては、無人化がメリットとなります。既存の顧客が何にメリットを感じて店舗利用しているのか理解できていないと、失敗してしまう可能性もあるので注意しましょう。
無人店舗の国内事例
店舗や拠点の無人化・省人化を行っている国内事例をご紹介します。
JRE MALL 無人ショーケース ポイントショップ
JR東日本では、2011年11月より駅構内に無人のショーケース型店舗「JRE MALL CAR」の展開を始めました。季節や流行に合わせ、JRE MALL内で販売している商品を入れ替えながら展示し、駅構内を移動する数分程度の短い接触時間で商品の認知を図る取り組みです。ショーケースに設置したQRコードから商品購入ができたり、ショーケースに設置されたモニターからスタッフを呼び出し商品説明を受けることも可能です。単なる商品展示に留まらず、購入や接客の導線に繋がっている点が、従来とは異なる無人店舗の新たな取り組みと言えます。
関連記事:JR東日本、ショーケース型店舗「JRE MALL Car」山手線内など20駅に
CATCH&GO
NTTデータ社内にオープンしたCATCH&GOは、ウォークスルー型の無人店舗です。スマホのアプリを使って入店し、レジ処理無しで買い物ができます。天井に設置されているカメラや商品棚の重量センサー等で人の導線や手に取った商品を解析・特定しています。お客様が決済方法はクレジットカード決済で退店後、自動的にアプリ経由で決済されます。最先端の技術が駆使され、まさに次世代型店舗ともいえるでしょう。
グリーンローソン
コンビニ大手のローソンでは一部の店舗で近未来型店舗を目指し検証しています。セルフレジをメインに、お客様が困った時はアバター店員が画面ごしに対応しています。身体的なハンディキャップがある方や外出が困難な方などを積極採用し、アバターで遠隔接客しています。弁当の廃棄の大幅削減を目指し店内厨房でつくる弁当以外に冷凍弁当なども販売し、サスティナブルな施策を集約したコンビニになっています。
ビックカメラ
ビックカメラなどの家電量販店には、各コーナーごとに専門スタッフが配備されていますが、昨今では店舗を省人化しタブレット端末越しに遠隔接客を行う取り組みが増えています。各コーナーに設置されたタブレットやモニターに商品案内動画が流れていたり、更に相談したいメニューを選ぶと遠隔のスタッフが呼び出すことができ、更に詳しい説明を聞いたり相談ができたりします。メーカーは全国の店舗に必ずしもスタッフを派遣する必要がなくなるため、少人数で多店舗対応が可能となります。
CREVIA(クレヴィア)マンション
無人店舗の取り組みは、小売業界だけではなく他分野にも応用されています。伊藤忠都市開発が手がける「CREVIA(クレヴィア)」マンションシリーズでは、マンション管理を無人化し、慢性的な人手不足の解消に成功しました。近年、雇用延長制度の浸透により、管理員を雇いたくても雇えないという深刻ななり手不足に陥っていた同社。そこで、マンションのエントランスに管理員を常駐する代わりに、デジタルサイネージを設置。そこに居住者へのお知らせを掲示したり、必要に応じリモートの管理会社にオンライン通話で問い合わせができるようになっています。
関連記事:人材不足の課題をオンライン通話で解決|マンションリモート管理という新たな取組み
船橋市役所・外国人総合相談窓口
船橋市役所の外国人総合相談窓口では、通訳スタッフを各窓口に配置する代わりに、遠隔のコールセンターから対応することで省人化を図っています。船橋市は人口のおよそ3%が外国人住民で占められています。慣れない土地に暮らす外国人住民に少しでも安心感を提供するため、母国語で相談できる体制を整えていますが、全言語の通訳スタッフを市役所窓口に常駐させるのは困難です。そこで必要な時にタブレット端末から遠隔の通訳スタッフを呼び出すことで、窓口人数は増やさずに12ヶ国語対応することを可能にしています。
関連記事:「ビデオ通話 × 多言語通訳」で、外国人住民の暮らしに安心を(船橋市役所)
無人店舗成功のポイント
遠隔接客でデメリットを解消する
無人店舗化のデメリットである有事対応や顧客とのコミュニケーション機会の減少は、遠隔接客を取り入れることで解決できます。顧客が困った時にタブレット等から遠隔拠点やバックヤードにいるスタッフを呼び出し、有人対応できる仕組みにしておきましょう。 遠隔接客は1拠点から多店舗に少人数で対応できるため、人件費を十分削減できる他、特に多い問合せから順に対応・改善していくことで、その後の店舗無人化/省人化を効率的に進められます。例えば、深夜帯や客足の少なくなる時間は受付を無人化しリモート対応を行うなど、まずは部分的に無人オペレーションを組み込んでいくと良いでしょう。
顧客視点と店舗業務
店舗の無人化・省人化は、顧客が入店してから退店するまでの流れを設計するのと同時に、店舗業務の全体のオペレーションをシミュレーションしながら細かくチェックしましょう。無人店舗といっても商品を補充したり、商品を綺麗に並べなおすなど、人の手は必要です。店内を掃除したり、レジの現金を回収するなども必要な業務です。いつ、誰が、どのように何をするのか?さまざまな項目で全体オペレーションを事前チェックしましょう。
店舗の無人化に役立つ遠隔接客システム
店舗の無人化・省人化のコツ・成功のポイントは、遠隔からの有人対応をうまく組み合わせることとお伝えしてきました。遠隔接客システムの活用は、機能が豊富でカスタマイズができる「LiveCall(ライブコール)」をおすすめします。
カスタマイズ可能なので、店舗のオペレーションに合わせて設計ができます。API連携も可能なので、顧客の様々なデータベースを活用できます。ブラウザベースで動く遠隔接客システムで、各拠点に設置した端末からワンタップ操作で遠隔地にいるスタッフを呼び出すことができます。来店したお客様はLiveCallのビデオ通話をとおして、スタッフの顔を見ながらコミュニケーションができ、対面同様の安心感をリモートでも提供できます。通話は空いているスタッフに自動的にアサインされるため、人材を有効的に活用できます。
まとめ:店舗無人化は段階をふむのがベスト
労働人口の不足が深刻化する中、日本でも今後どんどん無人店舗や業務の省人化が増えていくでしょう。無人店舗を持続的に成功させるには、自動化するオペレーションと有人対応するオペレーションを切り分けする必要があります。少人数による店舗運営は、人材の有効活用や人件費と拠点コストを大幅に削減することができます。
店舗の無人化・省人化するにあたり初期投資が高額になることもあるため、まずは遠隔接客を取り入れてみる、イベントで試してみるなど、できる部分から取り組み少しづつ無人店舗化しましょう。フランチャイズや多店舗経営している場合は、1店舗でまずは試験的に行い全体のオペレーションを確認してから他店舗に展開することが好ましいです。1店舗のみの場合は、成功したら多店舗経営の可能性も拡がります。1店舗で成功すれば、ビジネルモデルとなる可能性もあります。
店舗の無人化や遠隔接客導入をご検討の方・ご興味のある方は、お気軽に「LiveCall」までお問い合わせください。他社事例を交えながら貴社ビジネスを遠隔化する方法をご提案させていただきます。
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