自治体DXの先進事例〜窓口業務の効率化〜
自治体のデジタルトランスフォーメーション(自治体DX)は、行政サービスのデジタル化を通じて住民の利便性向上や業務効率化を図る取り組みですが、オンライン手続きの導入やデータ活用、窓口業務のデジタル化、スマートシティの構築、AIやIoTの活用、サイバーセキュリティの強化なども含まれるためデジタル化の範囲が広く、どこから手をつけるべきか悩む自治体も多いのが現状です。
このような状況で初期段階として取り組みやすい分野の一つが窓口業務のデジタル化です。この記事では窓口業務のデジタル化にフォーカスして、取り組むことによるメリットや先進事例の紹介をしていきます。
窓口業務デジタル化のメリット
窓口業務は住民が日常生活を円滑に送るために必要な手続きやサポートを提供する重要な役割を果たしていますが、これらをデジタル化することで住民側は利便性が向上し、行政側は業務効率化ができるなど、多くのメリットがあります。
住民の利便性向上
オンライン手続きを導入することで、住民は時間や場所を問わず必要な手続きをいつでも行うことができるようになります。窓口に行く必要がなくなるため、窓口の受付時間に時間をつくるのが難しい人や遠隔地に住む人、子育て中の人や、身体に障害があり移動が困難な人にとって大きなメリットがあります。また、窓口の混雑を回避できるため、長時間待つことなくスムーズに手続きが可能なのも大きなメリットです。
作業時間の短縮
オンライン手続きや電子署名、デジタルフォームなどを導入することで、手作業で行っていた入力やチェック作業を自動化でき、職員が単純なデータ入力や確認作業に費やす時間が大幅に削減されます。デジタルシステムを使うことで、データがリアルタイムで更新されるため、手続きの進捗状況を迅速に把握でき、必要に応じた対応もスピーディに行うことができます。
データ管理の効率化
デジタル化により各窓口で収集されるデータを一元管理できるようになります。異なる部門やシステム間でのデータ連携がスムーズになり、横断的な情報共有が可能になります。複数の部署が連携して効率的に業務ができデータの分析や活用が容易になり、住民ニーズに基づいたサービス改善が迅速に行えます。
環境への配慮
紙ベースの書類をデータ化することで、書類の保管や管理が容易になり検索や参照を迅速に行えます。ペーパーレス化は紙資源の削減につながり環境負荷の低減になり、持続可能な社会の実現にも寄与します。
リモートワークの推進
窓口業務のオンライン化により職員は物理的な窓口にいる必要がなくなり、リモートワークが可能になります。柔軟な働き方が実現し、職員のワークライフバランスの向上にもつながります。
人手不足の解消とコスト削減
窓口対応に必要な人員を削減できるため、人手不足の解消にも繋がり、コスト削減にもなります。また、紙の使用量が減ることでもコスト削減でき、印刷や保管にかかるコストも削減できます。
このように窓口業務をデジタル化すると多くのメリットがあり、結果的に住みやすい街づくりにも繋がります。
窓口業務デジタル化の先進事例
自治体の窓口業務をデジタル化する取り組みは全国各地で進んでいます。具体的な事例をご紹介します。
船橋市の多言語通訳
船橋市役所の外国人総合相談窓口では、LiveCallのビデオ通話を活用した多言語通訳サービスを導入しています。タブレットを使って12か国語に対応し、外国人住民が母国語で相談できる環境を提供しています。利用者はワンタップで通訳スタッフとつながり、行政手続きのサポートや生活相談をスムーズに受けられるようになっています。外国人住民の安心感と満足度が向上し、相談件数も増加しています。
関連記事:「ビデオ通話 × 多言語通訳」で、外国人住民の暮らしに安心を(船橋市役所)
東京都の観光案内
東京都が運営する東京観光情報センターでは、オンライン観光案内専用のWebサイトを公開し、自宅など好きな場所から多言語で観光案内を受けられるサービスを提供しています。サイトにアクセスすると和服を着たアバターが旅行者の質問や相談に応えます。国内外問わず東京を訪れるすべての観光客が無料で利用することができ、旅行前に自宅から相談することも、旅行中に外出先からも観光案内を受けることもできます。
関連記事:旅行前に自宅から、旅行中に外出先から、観光案内をオンラインで提供
東村山市の子育てデジタルワンストップサービス
東村山市では、仕事と子育ての両立など、子育てしやすい環境づくりに取り組み、令和5年度にデジタル田園都市国家構想甲府事業(type2)として採択され「子ども子育てデジタルワンストップサービス事業」を進めています。子育てに関連する行政サービスをワンストップ化し、子育てに関する講座の動画配信や、ビデオ通話を活用して子育てに関する相談にも対応しています。仕事や移動手段がないなどの事情により市役所に行くのが困難な場合でも、スマホやPC、タブレット等で相談でき、助産師や保健師が直接対応しています。
北海道の電子申請システム
北海道の電子申請システムは自治体の窓口業務を効率化するために導入されたオンラインシステムで、住民は24時間365日いつでもどこでも申請が可能です。各種行政手続きや申請をインターネットを通じて行うことができ、住民の利便性向上と効率化を実現しています。住民票や戸籍謄本の請求、各種許認可申請の他、環境生活部、保健福祉部、経済部、農政部、水産林務部、建設部など、各部門ごとに必要な手続きがオンラインで完結できるようになっており、多種多様な手続きに対応しています。
東京都杉並区のチャットボット
杉並区では、住民からの問い合わせに対して24時間対応可能なチャットボットを導入しています。このシステムでは、区役所の窓口でよくある質問に対して自動的に応答し、手続きの方法や必要書類についての情報を提供しています。チャットボットはAIを活用しており、問い合わせ内容に応じて適切な回答を自動で返信します。住民がわざわざ窓口に出向くことなく、簡単に必要な情報を得ることができます。
福岡市の粗大ごみ受付
福岡市では、LINE公式アカウントを活用して粗大ごみの収集申し込みを受け付けています。従来の方法では分別方法の確認後に改めて申し込みが必要でしたが、LINEを利用することで、友達追加後に簡単に申し込みができるようにしました。申し込み内容の入力や収集希望日、搬出場所の選択もLINE上で完結し、手数料の支払いもLINE Payで行えるため、利用者の利便性が大幅に向上しています。
窓口業務オンライン化に最適なツールLiveCall
弊社が提供するLiveCallを利用した場合、タブレットやデジタルサイネージ、モニター等とwebカメラだけを置くだけで、どこでも窓口を開設できます。行政サービスセンターに設置して本庁の職員に繋いだり、地方の役所から本庁に繋ぐなどできます。
ホームページにリンクを貼るだけでもオンライン窓口を開設できます。電話のようにすぐ対応できる場合は、住民がクリックするとビデオ通話を開始します。予約制で対応する場合はカレンダーを表示し、空いてる日時に予約してもらい対応します。
画面同期(コブラウジング)で入力支援もサポート
口頭では伝わりにくい内容が、ビデオ通話に変わるだけでぐっと伝わりやすくなります。申請や書類の記入など行政手続きは住民にとってわかりづらいものですが、オンライン窓口だと画面共有ができるため、自治体ホームページのどこから書類をダウンロードできるか、具体的な書類の書き方等も伝えられるため、わかりやすくなります。
画面共有で伝えても住民側が困っている時は、職員と住民のブラウザ画面を同期することもできるので、一緒に操作しながら入力支援することも可能です。わかりやすくありながら効率よく対応することができます。
LINEも活用して相談窓口
LINEは全世代の9割が利用しており、住民への情報提供にLINEを利用している自治体が多くありますが、遠隔コミュニケーションプラットフォーム「LiveCall」を組み合わせると相談窓口としても活用できます。主にチャットでコミュニケーションをするLINEですが、日頃、電話対応している職員がチャットで対応するのはなかなか難しいもの。LiveCallは電話のように音声のみの通話も可能なので、職員の業務も容易に移行することができます。簡単な質問に対する回答はLINE機能の自動返信で対応し、自動返信でカバーできない対応が必要になった際に、LiveCallで担当職員を呼び出すことができます。
相談内容に応じて複数の導線を設けることが可能です。例えば以下のように相談内容によって導線を分岐することで、相談者にとって最適な応答ができるようになり、職員にとっても応対工数の効率化を図ることができます。
1:よくある質問の場合→回答をチャットで自動返信する。
2:複雑な相談で職員の対応が必要な場合→LiveCallの即時通話機能で担当職員をワンタップで呼び出し。ビデオ通話を開始する。
3:複雑な相談だがすぐに対応できる職員がいない場合→LiveCallの予約機能で相談予約カレンダーを表示。予約日時に専門職員がビデオ通話で対応する。
多機能でセキュリティも万全
シームレスな動線がつくれるLiveCallは、窓口業務をオンライン化するツールとしておすすめです。音声通話、オンライン接客、チャット、必要に応じてコブラウジング(画面同期して遠隔操作が可能)ができるなど、機能が豊富です。最初はテキストチャットや音声通話からスタートし、必要に応じてビデオ通話に切り替えるなど、窓口業務に合わせて導線をつくることができます。
IPアドレス制限や二要素認証などセキュリティを強化するための機能もあり、職員側だけではなく住民側のモニターにIPアドレス制限をかけることも可能です。クラウドセキュリティの国際標準規格「ISO/IEC 27017」を取得しているので、個人情報を取り扱う上でのセキュリティも安心です。
自治体DXまとめ
自治体のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進において、「何から取り組むべきか分からない」という声が多く聞かれます。しかし、その中でも窓口業務のオンライン化は第一歩として取り組みやすく、多くの効果をもたらす絶好のスタートポイントです。
窓口業務は、住民と行政が直接接する重要なインターフェースです。この業務をオンライン化することで、行政サービスの利便性を劇的に向上させると同時に、業務の効率化やコスト削減といった多くのメリットが得られます。住民は時間や場所に縛られることなく、オンラインで手続きを完了できるようになり、特に忙しい現役世代や遠隔地の住民にとっては、非常に大きな利便性を提供します。
自治体DXに取り組みたい方、窓口業務の効率化や住⺠サービスの拡充を検討中の方は、お気軽にLiveCallにお問合せください。自治体での活用事例を交えながら最適なご提案をさせていただきます。
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